細胞のより微細な構造を把握する道が開かれ、神経細胞に異常たんぱく質が蓄積して発症するアルツハイマー病などの状態を把握することに役立っている。
授賞理由は「超高解像度の蛍光顕微鏡の開発」。
受賞するのは、米ハワード・ヒューズ医学研究所グループリーダーのエリック・ベツィグ(54)、ドイツのマックスプランク生物物理化学研究所長のシュテファン・ヘル(51)、米スタンフォード大教授のウィリアム・モーナー(61)の3氏。
従来の光学顕微鏡は光の持つ「回折限界」と呼ばれる理論上の限界があり、光の波長の半分の200ナノメートル程度までしか見ることができなかった。
ヘル氏は00年、エネルギーの大きさが異なる2種類のレーザー光を使って、対象物の分子自体を光らせて、微細構造を観察できるSTED顕微鏡を開発し、従来の限界を超えることに成功した。
また、ベツィグとモーナー両氏はそれぞれ、分子一つが出す光の揺らぎを見る単一分子分光計測という方法の基礎原理を発見した。
ベツィグ氏は06年に実用化した。
●世界を変える青い光=ノーベル賞
ノーベル物理学賞の受賞が決まった赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏が開発した青色発光ダイオード(LED)は、LED照明の普及による省エネ化への貢献にとどまらず、ITや電力制御など、さまざまな技術分野で世界を変える可能性を秘めている。
波長の短い青い光は、少ない面積で大量の情報を読み書きできる。
青色LEDの技術を発展させた青紫色レーザーを使うブルーレイディスクは、赤色レーザーを用いるCDやDVDに比べ記憶容量が飛躍的に増加。
小型・高性能のプロジェクターなどへの応用も進み、IT機器が生活のあらゆるところに存在する「ユビキタス社会」への貢献が期待されている。
また、電気自動車や次世代送電網(スマートグリッド)など大電力を制御する電子デバイスとしても有望視されており、LED照明とともに省エネルギー、低炭素化社会の実現に向けた鍵となる。
ノーベル医学生理学賞に比べて、上記の化学賞と物理学賞は分かりやすい。
僕らの身近なものだし、実用的なものだ。
ノーベル賞って、昔は「理論」中心だったけれど、最近は「実用的」なものが受賞することが多くなったよね。
ちなみに、アインシュタインも、もちろんノーベル賞を受賞しているけれど、受賞理由は「相対性理論」ではなく、光量子仮説に基づく光電効果の理論的解明によって1921年のノーベル物理学賞を受賞した。
「相対性理論」は、まだ「本当かどうか」分からないという理由でノーベル賞の対象にならなかったらしい。
それにしても、アインシュタインはすごい。
彼、ひとりの研究でノーベル物理学賞の3つぐらい受賞してもいい成果を出していたものね。
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