授賞理由は「脳内で位置感覚を構成する細胞の発見」。
モーセル教授は夫妻での共同受賞。
オキーフ教授は1971年、ラットの脳の「海馬」と呼ばれる部分に、ある特定の場所で反応する細胞があることを発見し、「場所細胞」と名付けた。
また、モーセル夫妻は2005年、周囲の環境との位置関係や距離を把握する「グリッド細胞」を発見。
場所細胞やグリッド細胞などのネットワークで、自分の位置を把握する仕組みを解明した。
人間の脳にも同様の仕組みがあり、海馬などに障害が生じるアルツハイマー病の患者では徘徊(はいかい)や周囲の環境が理解できないなどの症状が生じることが知られている。
研究成果はこうした病気の解明や、人間の脳が高度な認知機能を実現する仕組みの解明につながると期待されている。
人間は見知らぬ土地を歩く時でも、出発地点からどの程度歩き、どこを曲がって、今はどのあたりにいるかを把握できる。
脳の中にGPS機能があるようなものだ。
その機能を司るのが「グリッド細胞」だという。
実に面白い発想の研究だ。
誰も、「自分が今、どこにいるか?」なんて、分かって「当然」だと思う。
その誰もが「当然」と受け止めていることを「何故、自分の位置が分かるのか?」なんてことを研究する発想自体がユニークすぎる。
だからこその、ノーベル賞受賞なんだろうけれどね。
そんな研究をしている科学者がいるとは思わなかった。
いや、本当に、「子ども的な発想」を大事にしないといけないんだな。
「どうして?」を連発する子どもの質問は丁寧に答えないとね。
その昔、子どもに「どうして、こんぶで出汁をとるとおいしいの?」という質問から「旨味成分のグルタミン酸」を発見した池田菊苗博士のようにね。
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